「んじゃね、ちゃんと椎名先生に診てみもらうんだよ」
「あ、うん」
「また連絡するから」
手を振る後藤に見送られながら私は学校を後にした。
ここから陽生の病院まで20分ぐらいだよね?
タクシーの後部座席にもたれながらふと思う。
あ、でもその前に…
「すみません。先にマンションに寄ってもらってもいいですか?」
そう告げた。
保険証とか一応持って行ったほうがいいよね?
まさかこんなことになるなんて思ってなかったから、財布にお金とかも全然入ってないし…
いくら恋人が経営してる所とはいえ、何も持っていかないのも……あれだよね?
図々しいっていうか、さすがになんか気が引ける。
まぁ、きっと陽生はそんなこと気にしないのかもしれないけれど…
一応、念のため…。



