「もう、はる君!」
「あーもう、分かったから沙希そんなに押すなって、ったく…今準備するからちょっとまてろ、…あー…果歩悪いな」
振り向きざま、申し訳なさそうに顔を歪めた陽生に私は思わず苦笑いを返す。
遠ざかって行く陽生の背中を見つめながら軽くため息を吐いた私は、とりあえず荷物を置きに、重い足取りで寝室へと向かった。
宮田沙希(みやたさき)
確か、私より2つ下で今年17才っていってたっけ?
陽生から聞いた話、どうやら陽生の亡くなったお母さんの妹の娘さんらしい。
つまりはいとこってやつ?
で、あれは忘れもしない5日前。
突然「来ちゃった」と、玄関に入るなり陽生にあつ~い抱擁を交わした沙希。
ビックリしたのもつかの間。
「今日からしばらくここに泊めてね」
なんて可愛らしく言いながら陽生の反対を押し切って、それはもう強引に今にいたってしまっているってわけ。
理由はよく分からないけれど、どうやら家出中らしい。
そんなわけで、一応身内ってこともあってか、なんだかんだ言いつつも、沙希にはけっこう甘い陽生。
昔から、沙希が小さいころから何かと面倒を見てきたらしく。
陽生から言わせれば世話の焼ける妹みたいな存在って感じらしいんだけど…



