「それでも俺は今の果歩を愛してるよ」
やっぱり陽生には敵わないな…
そう言って躊躇なく私の唇を塞いだ陽生にどうしようもなく心が揺さぶられた。
その温かさに、込み上げてくる涙をもう我慢することなんてできなくて…
「だから後悔なんかしなくていい」
「えっ…」
「後悔する暇があるなら今自分ができることを精一杯頑張れよ」
キスを繰り返しながら陽生が言う。
「この世の中に無駄な時間なんて一つもない」
「えっ…」
「生きてる限り、その一つ一つの出来事が全て意味のあることなんだから」
「……意、味?」
「ああ、一分一秒全て勉強だと思えばいい。
それがたとえ間違ったことだったとしても、お前にとってそれが必要で、今ここにいる果歩を作りあげてきた大事な出来事だったんだと思うから…
だから決してダメなことじゃない。
そのおかげでこうしてちゃんと気付けたこともあるだろ?」



