甘い体温②・前編・


思わず目を伏せた瞬間、陽生がゆっくりと顔を上げた。




「果歩……」



そっと私の目元を拭う陽生の手。


フッと口の端を上げて優しく私を見る気配に、思わずハッと目を開けた。


あれ?私いつの間にか泣いて……


そう気付いた時、陽生が嬉しそうに言葉を向けた。




「そりゃあ、嬉しい愛の告白だな」


「え?」


「男冥利に尽きるってもんだ」



クスッと笑った陽生が私の目元にやんわりとキスをした。



「俺も…できるなら果歩の初めての男になりたかったよ」



そう言って優しく笑い、もう一度私の涙を指ですくう。



「でもな、正直そんなこと俺はどうでもいいよ」


「えっ?」


「過去は過去、今は今。こうして果歩が今俺の中にいてくれるだけで俺は十分幸せだから」