思わず目を伏せた瞬間、陽生がゆっくりと顔を上げた。
「果歩……」
そっと私の目元を拭う陽生の手。
フッと口の端を上げて優しく私を見る気配に、思わずハッと目を開けた。
あれ?私いつの間にか泣いて……
そう気付いた時、陽生が嬉しそうに言葉を向けた。
「そりゃあ、嬉しい愛の告白だな」
「え?」
「男冥利に尽きるってもんだ」
クスッと笑った陽生が私の目元にやんわりとキスをした。
「俺も…できるなら果歩の初めての男になりたかったよ」
そう言って優しく笑い、もう一度私の涙を指ですくう。
「でもな、正直そんなこと俺はどうでもいいよ」
「えっ?」
「過去は過去、今は今。こうして果歩が今俺の中にいてくれるだけで俺は十分幸せだから」



