「あーーーーーーっ!」
だけどその瞬間、突然響いた叫び声。
唇が重なる寸前で陽生と私の動きが同時に止まる。
正確には止められたっていった方があってるかもしれないけれど。
ビックリした私は思わず陽生と目を見合わせた。
「ちょっとぉー!急になにしてんのさ!人前でいちゃこかないでよね!」
見るとそこには頬を膨らませ、今にも怒りを爆発させそうな沙希の姿が…
「沙希お腹すいたんだけどぉ、はる君ご飯!」
そう言って怒りながら近づいてきた沙希が、私から陽生を引き離す。
「ちょ、沙希、お前急になにす…」
「キスなら私が後でしてあげるしぃ、だから早くご飯」
「はぁ?何で俺がお前とキスしないといけないんだよ」
「いいからご飯!」
陽生の腕にしがみ付きながら、ピシャリと怒鳴り立てる沙希。
私の顔を見るなりべーっと舌を出し、思いっきり顔を背けた沙希に、私はもう呆気にとられるばかり。



