甘い体温②・前編・


かと言って、今更こんなこと思ってもしょうがないことなんだけれど。



でも…


あれ?なんだろう…


そんなの当たり前のことなのにチクッと胸が痛んだ自分に気付く。



ホント、この前からなんなんだ、私…


沙希の時といい、こんなことでナーバスになってる自分が信じられない。


自分がこんな些細なことにさえ嫉妬する人間だったなんて…


それに、自分だって人のこと言える立場じゃないのにさ。


むしろ消してしまいたい過去なのは私の方なのに…





「…陽生……」



そっと陽生の首に手を伸ばす。


でも、それでもやっぱり嫌なものは嫌だ。


たとえ我がままでも、自分勝手だろうと、


この腕は、この温もりだけは誰にも渡したくない。


過去も、未来も、全部全部私だけのものにできたらいいのに…