かと言って、今更こんなこと思ってもしょうがないことなんだけれど。
でも…
あれ?なんだろう…
そんなの当たり前のことなのにチクッと胸が痛んだ自分に気付く。
ホント、この前からなんなんだ、私…
沙希の時といい、こんなことでナーバスになってる自分が信じられない。
自分がこんな些細なことにさえ嫉妬する人間だったなんて…
それに、自分だって人のこと言える立場じゃないのにさ。
むしろ消してしまいたい過去なのは私の方なのに…
「…陽生……」
そっと陽生の首に手を伸ばす。
でも、それでもやっぱり嫌なものは嫌だ。
たとえ我がままでも、自分勝手だろうと、
この腕は、この温もりだけは誰にも渡したくない。
過去も、未来も、全部全部私だけのものにできたらいいのに…



