甘い体温②・前編・


(葛藤ーSide果歩ー)




それから何事も無くあっという間に夏が過ぎ、秋になった。


ほんのり心地いい、だけどちょっぴり切ない季節。


とは言っても所詮はまだ9月。


まだまだ日中は熱いと思うことの方が多いんだけれど…




「う~ん。この季節って着る服に困るんだよね~」



毎年同じようなことを言ってる気がする。


そう思いつつも、困るものは困る。


こればっかりはしょうがない悩みだよね。



「そろそろ秋服が欲しいかも」



ベッドにうつ伏せに寝っ転がりながら一人、呟く。


目の前にあるファッション雑誌と思わずじっくりにらめっこ。



「あ、このジャケット可愛いかも」



ふと。ページをめくる手が止まる。


無意識に声を漏らした瞬間何故か目の前が暗く陰った。