「さて、じゃあお互い和解したところでそろそろ中に入ろうか?」
「えっ?」
「さすがにこのまま玄関にいるのも変だし、それに熱いだろ」
その言葉にあ…と我に返ったように俺から離れた果歩。
よく見ると俺も果歩もうっすら汗ばんでいる。
さすがに夜だと言ってもあくまで真夏。
クーラーも付けず、締めっ切りの部屋に長時間いるのはきついよな。
おまけにさっきは年甲斐も無くけっこう走ったし。
「先に風呂に入ろうか?それともこのまま果歩にしようかな?」
ネクタイを外し、意地悪く顔を近づけた俺に果歩が肩をビクつかせた。
やべぇ…
やっぱり、いつ見ても果歩の泣き顔はそそられるよな。
思わず苛めたくなるぐらい。



