甘い体温②・前編・


「さて、じゃあお互い和解したところでそろそろ中に入ろうか?」


「えっ?」


「さすがにこのまま玄関にいるのも変だし、それに熱いだろ」



その言葉にあ…と我に返ったように俺から離れた果歩。


よく見ると俺も果歩もうっすら汗ばんでいる。


さすがに夜だと言ってもあくまで真夏。


クーラーも付けず、締めっ切りの部屋に長時間いるのはきついよな。


おまけにさっきは年甲斐も無くけっこう走ったし。



「先に風呂に入ろうか?それともこのまま果歩にしようかな?」



ネクタイを外し、意地悪く顔を近づけた俺に果歩が肩をビクつかせた。



やべぇ…


やっぱり、いつ見ても果歩の泣き顔はそそられるよな。


思わず苛めたくなるぐらい。