「丸聞こえだったもの、さっきのイチャイチャっぷり」


本条くんもやるわねぇ?




…。


え、ヤバい。


先生、見てたの…?



一気に顔に血が昇った気がした。


頬が熱い。多分今、真っ赤だ。




「手、怪我したんでしょ?
ほら、出して」


「あ、いや、ヘーキ…です」



こういうとき、とっさに"大丈夫"、と言ってしまうのは何故だろう。


…まぁ、実際大したことないんだけど。



「三浦さんもSHR始まってるわけだし、先生もこれから会議だし。」


だから早く、と先を促される。


「ほんとに、大丈夫なんで」



…保健室、出ようか。










「ねぇセンセ、俺が、やろっか」







―――渋っていたあたしを、心底憎んだ。