「叶、寝グセついてる」



そっと手を伸ばせば、サラサラの柔らかい髪。


ズルいよなぁ、なんて呟いて、叶を見る。


なにが、とでも言いたげに見上げてくるガラス玉みたいな瞳も、半開きになった薄い唇も、はだけたシャツから覗く白くて細い首筋も、みんな、ズルい。




はぁ、とひとつ溜息をついて、手元のそれに目をやる。



「叶、ご飯、食べる?」