私がもしも、ここで断っていたら、私や沙知絵やお腹の子は、この先どんな人生になっていたのだろう? なんて、運命なんて変えられるもんじゃないことくらい、この時にだって気付いていたんだけれど。 ------------- 病院の入り口。 『あら!真佐子。』 『お母さん!お父さんの具合はどう?』 『お父さんは…あまり良くない状態だわ。あ!それより、そちらの方は……?』 母が首を傾げている。