「・・・なんで俺がハゲになんなきゃいけないわけ?」
「え、なんとなぁ~くだから、気にしないで?」
「いや無理だろ」

テヘッなんて効果音付きで笑ってくる女・・・神田奏(かんだ かなで)。

誰でもいい。
どこか俺の視界に入らないところに連れてってくれ。

「あ、りっちゃーん!」
「おう、奏じゃーん。・・・あれ、どした朔也?」
「・・・なあ、律。こいつ、どっかやってくんね?」
「ワオ、そりゃあ無理な注文でさぁ」
「誰だよ」

鈴木律(すずきりつ)。
・・・こいつも中々の曲者だ。

「で、朔也に何言ったのさ?」
「・・・それはね」
「どきどき・・・どきどきっ」
「ハゲになれ~って、言ったのさ!」

・・・

「ぶっ」

・・・おい、

「ぶぁっはははははははっ」

笑うとこかよ。

「キャハハハハハハッ!やっばい、奏、ナイスじゃん!!」
「でしょでしょ!!」
「・・・ハァ」

こいつらの相手、まじ疲れます。
ついでに人生にも疲れてきちゃいます。

「それで・・・朔也のっ・・硝子のハートはっ・・・ぶふっ、割れちゃった・・・ぶはははははっ」
「笑うか喋るか、どっちかにしろ」
「あはははははははっ」

・・・結局、笑うんですか。
てか、いつまで笑ってんだよ。