「だいたいさ、あたしに勉強なんかさせよう、ってのがまず間違ってんのよ」 正解不正解はともかくとして、とりあえず解答欄を埋めようと、シャーペンを滑らせる。 さっきから動く気配のない榎本の手には、あたしが持ってきたスナック菓子。 閉じられた問題集の中身が、ほとんど終わっている辺りが癪にさわる。 榎本が、どーでもいいんだけど、と前置きして、口を開く。 「間違ってるといえば、問3、間違ってんぞ」 …こういうところ、も。