「榎本もさぁ、めんどくさいと思わない? 夏休みにこんなとこで補習とか」 シャーペンを未だ真っ白な問題集の上に放り出して、尋ねる。 「そりゃ、めんどくさいよ。でも、ま、しょーがないんじゃね?」 …コイツのこういうところが、嫌いだ。 しょーがない、とは思うけど、できればやりたくないに決まってる。 榎本だって同じのハズなのに、と思う。 彼と出会って、3ヶ月とちょっと。 まだ何も、知らない―――。