「いってきまーす!!」


やばい、やばい。
遅刻だぁー!!!!

自転車が置いてあるとこまで走る。
自分の自転車を見つけると、鍵を開けようとする。
でも、うまく鍵が開かない。


あぁもう!!なんでこういうときに限って!!


ガチャーンと待ちわびていた鍵の開く効果音を聞くと
速攻で自転車に乗る。


「やばいやばいやばいやばい」


せっかくこの日まで遅刻なしだったんだから、意地でも遅刻はしたくない。


うおぉぉりゃぁああぁぁあ!!!!


力を入れて、ぐいぐいペダルを踏み込む。

 突然、タイヤでなにかを踏んだ。なにか、小さくて硬いもの。


「あ……」


ふと足元を見ると、小さくてトゲトゲした石が転がっていた。

あぁ、踏んじゃったんだ……。
でも急がなきゃ!!

そう思って、ペタルを踏むとあの匂いがした。
ふあーんと、甘い香り。何度か嗅いだことのある。
通学してるときに、たまーに匂う。

と、匂いと同時に、タイヤが音を立てて動かなくなった。

もしかしてと思い、しぶしぶ自転車を降りて、前輪を見てみると案の定、穴がぽっかり空いていた。

あちゃー、どうしよう……。こんなときに限ってなんてことが起きるんだ。今日って厄日なんじゃない?
……そんなことよりも、自転車どうしよう。
今から家に帰って、自転車置いてから登校だと完全に遅刻になる。


「うーん……」


1人道路の真ん中で、突っ立って悩んでいた。

悩んだってしかたないか。
そんな時間があるなら諦めて家に帰ろ……。

と、自転車を持った瞬間。