蜜林檎 *Ⅱ*

「私は、また父を怒らせる
 ような事をしてしまった
   
 父が二人の事を
 許してくれなくても・・・
 それでも・・・
   
 貴方は、私と
 一緒にいてくれますか?」

樹の瞳には、涙を浮かべて
そう呟く杏の姿が映る。

彼女の左頬に、彼は右手で
優しく触れる。

そして、告げる。

「杏、もう二度と君の手を
 放したりしない
 
 俺は、永遠に君の傍にいるよ
   
 だからどうか俺を選んだ事を
 後悔だけはしないでほしい」

「後悔なんて・・・しない」

樹は、杏を抱き寄せる。

「大好きよ、イツキ
 どうにかなってしまいそうな
 程に、あなたを愛してる」