蜜林檎 *Ⅱ*

「イツキ、来て」
 
杏の胸に、頬を寄せる樹。

杏は樹の頭を優しく撫でる。
  
彼は安らぎの中、瞳を閉じる。

ほんの少し、時は過ぎ
沈黙が続く。
   
「イツキ、寝ちゃった?」

「いや、起きてるよ」

「イツキ、わたしね
 幼馴染の・・・」

樹は起き上がり、シャツを
とり着る。
  
そして、杏にも自分のシャツ
を渡した。 

「ありがとう・・・」
  
「杏、何も言わなくていいよ
 また、ここから始めよう」

頷いた杏は、樹のシャツを
身に纏う。
 
樹は杏のボタンをひとつずつ
かけていく。

「イツキ
 お父さんはもう、絶対に
 私達の事を許してはくれない 
 ・・・」