蜜林檎 *Ⅱ*

彼の指先にキスをする杏。

彼女の首筋にキスをする樹。

お互いの胸は高鳴り、苦しい
  
でも、この苦しみは

痛みとは違う。

幸福の甘い蜜の味がした。

「私も、あなたを愛してる」

樹は、杏を強く抱きしめた。

ただ、あなたが傍にいれば

それでいい・・・ 

口づけを交わし、裸のままで
縺れ合う二人
  
覆いかぶさる樹は、杏の首筋
に口づけを・・・
  
すると樹は杏から離れ

彼女の隣に横になる。

「ごめん・・・
 飲みすぎた・・・
 
 俺って本当、馬鹿
 自棄酒(やけざけ)飲んで
 ほんと恥ずかしいよ」

杏は、樹の罰悪そうに照れた顔
を見つめて、胸がきゅんと
なるのだった。