蜜林檎 *Ⅱ*

今宵の酒宴は終わり、帰り道が
同じ者どおしが、タクシーに
乗り合わせて帰って行く。

ひどく酒に酔った樹は、車内で
眠りに付いていた。
  
すると、樹の携帯音が鳴る。

「イッキ、携帯
 ・・・鳴ってるよ」

「どこ・・・?」
 
朔夜はポケットから樹の電話を
取り出す。
  
着信履歴には

杏と書かれていた。

「誰から?」

「さあ、木の下に口って漢字
 ・・・誰だろうね?
 あっ、アンズだぁ~」

樹は飛び起きて、朔夜から
携帯電話を受け取り

杏からの、電話に出た。
  
「もしもし、杏?」

「イツキ、今どこにいるの?
 
 早く、貴方に逢いたい」