蜜林檎 *Ⅱ*

「イツキが、言うの

『おまえを愛してる』
   
 それは、私が一番
 欲しかった言葉
 ・・・・・・
 
 ユリちゃん
 私はどうすればいい?」

涙を流し、不安げに杏は
百合をみつめた。
 
「アン、絶対に自分の気持ちに
 嘘をついてはいけない
 貴女は自分がどうしたいのか
 もう分かっているはずよ」

杏は、どうしたいか・・・

知っている。

「ユリちゃん、私行かなきゃ
 ・・・」

「玄関から、私の靴を履いて
 行きなさい
 
 後の事は任せて」

「ごめんね、ユリちゃん
 ありがとう」

杏は、玄関を飛び出す。