杏の顔を真っ直ぐに見つめる
蒼一。

「そうか・・・
 じゃあ、こうしよう
 杏の心が落ち着くまでの間は
 俺のところにいればいい」

「えっ・・・でも・・・」

「心配しなくても何もしないよ
 俺に気が無い女には
 手を出さない主義だから」

かっこつけて、そう言い放つ
蒼一に杏は、冗談口調で言う。

「さっき
 キスした人が言う?」

「・・・本当だ」

二人は、いつものように
笑い合う。
 
杏の微笑む顔を見て
蒼一は嬉しくなる。

「やっと、笑った」

「ソウちゃん、ありがとう
 少しの間だけ
 私を、ソウちゃんちに
 おいてくれる?」

「いいよ・・・
 俺は、仕事で出張も多い
 から滅多に家にいないし
 留守番しててくれると
 助かるよ」

蒼一の笑顔に杏は救われる。