蜜林檎 *Ⅱ*

それからの二人は、答えの出ない
問題に目を背け見えないふりを
続けた。

そして二人きりの生活

・・・毎日、寄り添い
 
楽しい時間を過ごしていた。

樹は、その傍らで今ある幸せを
噛み締めながら思う。

もうすぐ、この幸せは
消えてなくなる。

杏は、一日の終わりに

必ず樹に問いかける。

「イツキ・・・明日も
 
 私の傍に居てくれる?」

樹の胸は、苦しくてたまらない

不安げに見上げる杏を
きつく抱きしめて言う。

「明日も、一緒だよ・・・」

『もう少しだけ・・・
 このままでいさせてくれ
   
 あと少しだけ・・・』