「そんなに怪我して
 イツキは
 大丈夫なんですか?」

「大丈夫だよ
 事故を目撃した人の話では
 樹は、車に轢かれて、宙を
 舞ったそうだが、うまく
 旅行鞄の上に頭が落ちて
 脳を地面に強打せずに
 済んだようだ
 一歩間違えていたら・・・
 全く、強運な奴だ
 命には別状は無いよ」 

「ほんとうですか、よかった」

真野の顔色が、変わる。

「ただ、命には別状は
 無いのですが
 意識がまだ戻らないらしく
 脳はどこも損傷していない
 ので、担当の先生も意識が
 戻らない原因が
 分からないらしいのです」
      
「意識が戻らないって?」

「事故の後から
 彼は、眠ったまま・・・
 
 イッキが意識を戻すまで
 集中治療室からは
 出る事ができないらしい」

真野の言葉を聞いた杏は
倒れそうになる。
    
そんな杏を
雅也は、しっかりと支える。