「絶対、ここだと
 思ったのに・・・」

大切なピアスを無くしてしまい
心から落ち込むまりあ。

「まりあ、そろそろ戻ろうか
 何も言わずに、ここへ来た
 から皆が心配するよ」
 
その時、樹の携帯が鳴った。

「ほら、サクちゃんからだ」

そう言って、電話に出た樹は
お酒を飲んで、できあがって
いる朔夜に、分かるように
事情を説明していた。

諦めて車を出ようとした
まりあはサイドガラスに映る
自分の姿に、ふと、あの日
の事を思い出す。
    
まりあには、ピアスを触る癖
があって、あの時
車に乗った後、確かにまりあ
は、ピアスに触れる自分の手
を、サイドガラス越しに
見つめた。
   
きっと、誰かがピアスが
落ちている事に気がついて
持って出たに違いない。

それは、杏・・・