蜜林檎 *Ⅱ*

携帯電話を見て杏からのメール
に、気づいた樹の顔がにっこり
と微笑む、そして、さっと
席を立つ樹。

「ちょっと、ごめん」

樹は携帯を手に仲間から離れ
店の外に出て行く。

「ケイ、見たかよ
 イッキのあの笑顔・・・」

「結婚前から、アンズちゃんの
 尻に引かれてるね」

「うんうん
 幸せそうでいいね」

店の外、樹は杏に電話をした。
 
「杏、俺だけど、もう家なの?
 そう、こっちは、まだまだ
 続きそうだよ
 ちゃんと、戸締りして
 ・・おやすみ、愛している」

電話を切った樹の、後方から
声が聞こえた。

「電話の相手は
 アンズちゃん?」

まりあの登場に、驚く樹。

「マリア、今日は来れない
 んじゃなかったのか?」

「仕事が思ったよりも早く
 片付いたから、それに
 イッキに聞きたい事
 があるの?」