「明日、ユリちゃんに
 御礼言わなきゃ
   
 うわぁ、見たい・・・
 見てもいいかなぁ?」

上目遣いで樹にそう問いかける
杏はとても可愛くて、樹はつい
意地悪を言ってみたくなる。

「ダメだよ・・・
 なんて嘘、見てもいいけど
 その代わり、煙草
 吸ってもいいかな?」

「ごめん、気づかなくて
 灰皿、持ってくるね」

樹は昔の精一杯、かっこつけて
いる頃の自分の姿を見られる
恥ずかしさから、窓の外を
見つめて煙草を吸う。

こっそり杏を見つめると彼女は
とっても嬉しそうに目を輝かせ
ながら、ページを捲っていく。

そんな杏の手が、あるページを
境に止まる。

そこに挟まれてあった写真には
当時、付き合っていた頃の
樹と百合の姿が写る。
 
百合の肩に腕を回し
無邪気に笑う二人の姿。