その日から社長の秘書として忙しい毎日が続いた。
社長は仕事にはとてもきびしく毎日定時に上がるために私は必死に仕事をこなした。
反面に家に戻るとまるで昔からの友達のように接してきた。
本当に結婚しているんだろうかと思うくらい奥様の荷物は家には置かれておらず、月に一度の面会がそのことを思い出させる。
初めて奥様にお会いしたのは秘書になり2週間がたった時だった。
会社創立パーティーが行われることになり、奥様を同伴することになったのだ。
現地のホテルで落ち合うことになりホテルの玄関で待っているとひときわ大きなどよめきが起こった。
入口を見ると真っ白な肌に大きな瞳、ストレートの長い黒髪をアップにしてスレンダーな身体はオフホワイトのマーメードラインのドレスに包まれ息を呑むほど美しい奥様の姿があった。
「祐樹!」
社長の姿を見つけて近づいて来た奥様。
次第に距離が近づいて圧倒的な美しさに息を呑む。
莉那自身もかなり綺麗なのだが残念なことに本人が無自覚なのでどうしようもない。
今日の莉那は薄いピンクの訪問着を着ていた。料亭の娘だけあって着付けは得意だ。
背は平均的で158cm。
ボブにカットしている髪はもともと色素が薄めの茶色だが光の加減で自然なグラデーションがでてとても綺麗だ。
スタイルも抜群で特に足のラインは男性たちの視線を釘付けにする。
この会場でもちらちらと莉那に視線を送っている男性の姿があるが本人はまったく気付いていない。