好きな人ができました


「待てよ!」

貴一は走るアタシの腕をつかむ。


「放してっ…」

それでも貴一は放さなかった。


「あんな奴…放っとけよ!!」

アタシは手を振りほどく。

「放っとけないよ!3年間友達やってきたんだからっ…」
「でもそれは疑似かもしんねーだろ?」
「…貴一は美沙の事知らないからそーゆー事言えんのっ」
「…え?」


アタシは貴一の方を向き、言った。

「美沙は…今まで何回も自殺しようとしてる。」


そう。

美沙の家はお金もあってお嬢様で、頭が良くてモデルもやってて…


一見、幸せそうなんだけど…―


「…何で」
「美沙のお母さんとお父さん放任で…美沙、家に居場所なくて…」
「そうなんだ…」

貴一はうつむく。


「アタシも美沙のアノ性格に何度も嫌になった…でも放っておけない。」


アタシが泣きそうになっていると。

貴一は顔を上げ、アタシの頭をなでてから言った。