好きな人ができました



貴一とテーブルをはさんで、向かい合って座る。


「あのさ…さっきの事なんだけど…」

貴一は少しして、口を開く。

「え…」
「話って告白の事だったんだよな?」


貴一は真剣な顔をする。


「うん」

アタシはうなずく。


「こんな時に…どうかなとは思ったんだけど、言うな」
「…うん」


貴一は一呼吸おく。



「…付き合おう」
「え?」

アタシは思わず聞き返した。


今…

付き合おうって…―


えぇ!?


「オレも、転入してきた時からずっと気になってて…」
「うそ…」

そうだったんだ…


「一緒にバンド組んで『ああ、オレ亜希が好きなんだ』って思った。」

同じタイミングで、好きになってたなんて。


でも…

「でも…お姉ちゃんは?」
「ああ…アネキはもう関係ねーよ。アネキが死んだ時、折り合いはつけたんだ。」

…本当に?


「…」
「それに、オレはアネキとは絶対に結ばれない運命だった。」
「そんな…」


アタシがうつむくと、貴一はアタシの頭をそっとなでた。


「好きだよ…亜希」


貴一は微笑む。