急に名前を呼ばれてた。
驚いて2人に顔を向ける。
小柄な女子生徒と、俺の苦手な物理教師。
2人も揃ってこっちを見ていた。
なんだっけ、動物園にいる小動物に似ている。
あぁ、思い出した、プレーリードッグ。

「やだ。」

え?

「だって、苦手なんだもん、桂木せんせ。」

そりゃ、こっちのセリフだ。

「そりゃ好都合だなー。はい、ってことで早速補習、補習。」

物理教師は、ガシっと、女子生徒の腕をつかむと、職員室の入り口に向かって歩き出した。

「桂木先生、あの部屋使っていいですからー。鍵とってきてくださーい。」

上司の命令に逆らうわけにはいかない。
俺は、素直に鍵を取ると、2人の後を追った。