「どうだ、わかったか?」

「はい、なんとか。家に帰って、また解き直してみます。」

いいねぇ、この達成感。
だから教師はやめられない。

「あ、そうだ桂木先生、補習、頑張ってくださいねー。」

帰り際、笹島にそんなことを言われた。

補習?
あ、そうか、今日も補習だって、清浦に言ったんだっけ・・・。

まずい。

最後の授業が終わってから、1時間がたっている。
普通なら、帰っているだろう。
でも、どうなんだ、あいつの場合。
行動が読めないからな・・・。
とりあえず、俺の部屋に行こう。
少し大股で、職員室を出る。

いなければいい。いなければいい。いなければいい。

心の中でそう唱える。
どうしてだろう。
別に、清浦のことが嫌いなわけではないのに。