プライドが高くて、毒舌家なくせに、こうやって二人きりになると、急に甘えてきたりする。
頭の良い彼女のことだから、これも作戦の1つなのかもしれない。

そうかもしれない。

でも、俺も健全な男なわけで、こうゆう彼女のことを可愛いと思ってしまう。
それでも、まあ、いい。
たとえ、綾の計算の上に成り立っていることだとしても、俺は幸せなんだから。

煙草を1本取り出して、火をつける。
いつの間にか、これがラスワンだった。
これだけ一気に吸うと、うん、なんかしっくりしてきた。

清浦の言ったことに従うのは、ちょっとしゃくだけど、このさい、銘柄を変えてみようか。
そんな気になってきた。

横の綾が寝返りをうつ。
長くて細い手足と、豊満な胸。

やべっ、また変な気持ちになってきた。

煙草を消す。
シャワーを浴びる。
夜が明け始めた。

そうだ、今日も出勤だった。
家に帰る前に、ラッキーストライクのカートンケースでも買おうか。

上る朝日を眺めながら、そんなことを考えた。