『監禁部屋』を出たあたしは、部室棟に向かった。
あたしは、別に部活をしているわけじゃない。
でも、ちょっと協力してる部活があるのだ。
放課後にその部室に寄るのが、あたしの日課だったりする。

「あ、リン先輩!」

部室の目の前で、後輩に呼び止められる。

「あー、ごめんね、美紀。ちょっとさ、補習にひっかかっちゃってさー。」

「あはは。災難ですねー、先輩。
 また中間悪かったんでしょー。」

「あ、バレた?」

「そりゃバレますってー。
 先輩、ちゃんと勉強すればきっといい点取れるのにー。」

「どっかくるのさ、その根拠。」

「先輩の『台本』ですよ。」

美紀は、ニコニコ笑いながら、部室のドアに手をかける。

「お先にどうぞ、リン先輩。」

やっぱ気が利くな、美紀は。
いい後輩を持ったわ。
うん、幸せものだね、あたし。