王子様とお姫様の秘密の決断

黙っていた荻野さんが、母の名前が書いてある母子手帳を二冊私の前に置き

「さくらは私と瑶子の子供だ。私のせいで君と神崎さんには大変迷惑を掛けて来てしまった…本当にすまない」

荻野さんは床に手をつき頭を下げたのを見て、父は

「もうその言葉は良いですから…」



私は、目の前に置かれた母子手帳を手に取り、ページを巡った。

一冊は兄の名前。

そしてもう一冊に子供の名前と母の名前、そして父親の欄は空白になっていた。