時が止まったかのような錯覚に陥るほど、シンと静まり返っていた。時計の秒針だけが鳴り響いている。 でもそれはあっという間で、すぐに美陽に押し返された。 「…な、んで?もう解放してよ……」 目に涙を溜めた状態でキッと睨んでくる。泣かせるつもりなんか、これっぽっちもなかったのに…なんで……。 ふと昔のことを思い出した。 美陽がオレの前で笑っていた、ずっとずっと昔のことを。 あの時みたいに笑ってくれることはないのか?それなら…オレは……。