振り向かなくてもわかる。

こんなに黄色い声を出すのはあの人しかいない…。


「なんだよ、瀧澤」

瀧澤百合。あっくんと同じ学部の、女の子だ。


百合さんはあっくんのことが好きらしく、何かと声をかけてくる。

「別にー?早く行こうよ、講義始まっちゃうよ」


右腕を掴み、そそくさとまるで嵐のように去る百合さんとあっくん。



…百合さんのこと嫌いとかいうくせに、巨乳に鼻の下ノビノビだよ、あっくん。


「あたしと違って、百合さんはおっきいもんね………」

なんて呟いてみる。



百合さんと比べること自体おかしいか。別にあっくんの事なんかどうでもいいし…




なぜか心臓が痛む…。


あたしには不思議でたまらなかった。