一番、回数重ねたのが真由美だったけど、

アイツはサバサバしてるわりにいろいろ鋭かったな。

最後なんて、

「司、そんなんじゃ一生恋愛できないよ」

なんて説教されたっけ。



そんなんって、どんなんかわかんないけど。



あの頃、ただ目の前にあるものだけを必死にこなすので精一杯だったから仕方ない。

恋愛なんて余裕なかった。

今もだけど。



サツキさんちにお邪魔しはじめてから、誰もつまんでません。

バンド、バイトに家政夫が加わって、つまみぐいしてる時間ないし。

そもそも、バンドが軌道にのりつつあるから、浮ついた言動はつつしまないとね。

俺ってば真面目。

なのになんでこんなこと思い出してるのかっていうと…


ヤリてぇ〜。


しょーがないじゃん!

生殺しなんだもん!



サツキさんとはヤリたくない、それは頭。

体は別、刺激されたら反応するよ。


はぁ…。


男って悲しいなぁ。


こういう時、風俗に行くんだろうなぁ。



風俗…。



…。



サツキさんのお店は、高いんだろうなぁ…。




て、うわー!何考えてんだ俺!アホ!

サツキさん、ゴメンナサイ!


ダメ、今度谷川にエロビデオでも借りよう…。


はぁ。



そんなことを悶々と考えていたら、背中を思いっきり叩かれた。

「イッテ!何すんだよ!」

振り向くと、谷川がいた。


「やっぱ司じゃん。何回呼んでも返事しないから、人違いかと思ったぁ」

言いながら谷川は同じテーブルについた。

「人違いで叩かないだろ…わざとらしい」

「だってマジで何回も呼んだんだぜ?珍しく早く来てるなと思ったらぼんやりして。ライブで燃え尽きちゃった?」

「いや、大丈夫」

そう、今日は面談。

俺は指定された喫茶店に早く着きすぎたから、コーヒー飲んでボサーッとしてた。

あぁ、そうだよ、面談だってのに…

俺の頭のなか、ピンク色じゃん。

情けない…

ごめん谷川、太田…