「司の潔癖性はどうにかならないの?」

俺がハタチの頃、真由美という女に言われたことがある。

いや、他にも言われたっけ?


よく覚えてないけど。

「潔癖性?」

俺、そんなたいそうな性質、持ち合わせてない。


はて。


真由美は服を着ながら、

「キス、できないじゃない」

と口を尖らせた。

あぁ…。

俺、キスしたくないんだよね。

気持ち悪いじゃん、ごはん食べるとこだよ?

てゆーか、顔近付けるのが無理。

顔、重要。

だって、目とか鼻とか耳とかあるじゃん。

いろんな情報が入ってくるとこだよ?

そんな大事な顔と顔をくっつけんの、嫌だ。

まぁ、今思えば、女の子達にはものすごく失礼だと思うけどさ。

嫌だったんだよ、だって君たちは知らない人。

抱いて抱いてオーラを出しながら寄ってくるけど、

俺のこと好きなわけじゃないでしょ?

俺もだよ。



君たちは、抱かれたい。

俺は、ヤリたい。



一致してんの、そこだけ。

中には、俺のこと本当に好きで好きでしょーがない、なんて子もいたけど、

俺、そういう子は避けてた。



面倒臭そうだし。



結局そういう子だって、バンドしてる俺しか知らないじゃん。

俺、違うんだよ。

妹によく


「お兄ちゃんうざい!」


て言われたくらい口うるさいよ。

うざくもなるよ、可愛くってしょーがないもん。

「お兄ちゃんみたいな彼氏は嫌だ!」

て言われた時は凹んだなぁ。

まぁ、ちょっと…ガミガミ言いすぎた時もあったからね。



俺はうるさいよ?

ヤキモチ焼きだし。

細かいし。



そういうの知らないで、ただ


TKOの司とヤッた


て事実がほしいだけでしょ?

○○の××とヤッた

になれば、俺じゃなくてもいいわけで。


俺は出せればいいから、別にそんなんはどーでもいい。

だから、キスしないところで、文句言われる筋合いないわけ。

でもさすがに、どストレートに言っちゃうと

「最低!」

なんてことになるから、潔癖性とか言い訳してた。