「…唯人」

小さく彼の名前をつぶやいてみた。


「なーに?」

ひょこっと現れたのは、唯人。

あたしが待っていた人。


「な、なんでいるの!?」

驚きで噛んでしまった。

舌が痛い……。


「なんでって俺のお気に入りの場所だし」

「そっか…」


納得してしまうあたし。

だって前から言っていたから。


「俺、ずっとここで待ってたよ。
紅香が来るの待ってた」

「え?」