本物の愛



全然、花火どころぢゃないよ。


ずっと、しっかり繋がれている手に神経が集中して、落ち着けないよ。


「うわ、花火超きれいだな」


となりではのんきに花火に見とれている唯人。


もう!あたし、全然余裕ない……。


恥ずかしい。

唯人に気付かれてないといいな…。


せっかく花火大会に来たんだから、と顔をあげると色んな色の花が次々と上がっていった。


言葉に表せないほど綺麗。

「…きれい」


はかなく、すぐに消えてしまう花にどことなく寂しくなった。


あたしも唯人と花火みたいに、今の一瞬だけ輝いてあとは消えてしまうの?



そんなことに……、なってほしくない。