本物の愛



顔を赤くして黙り込んでいるあたしに不思議に思ったのか。

「…紅香?」

と、顔を覗き込まれた瞬間。


「ごめーんっ!遅くなったぁ!」

カタカタとげたをならして薄いピンク色の浴衣を着たかすみが走って来た。

そのかすみのうしろに男の人がいた。


あの人が……、彼氏かな?

でも外はもう暗いからよく見えない。


「ずじゃーんっ!かすみの彼氏の淳(じゅん)君だよーっ♪」


近くに来てやっと見えた。

栗色の短パツの爽やかな青年てかんじ。

すごくかっこいい人だった。


「初めまして、北高の淳だよ」

「初めまして、紅香だよ」

「俺は唯人です。初めまして」

それぞれ自己紹介をして、出店に行くことにした。

淳君とあたしたちはすぐに仲良くなった。