本物の愛


待ち合わせ場所の公園の入り口に到着したけど、まだ誰も来てなかった。


あたしが一番乗りだ。

携帯で時間を見てから、鞄から手鏡を出してメイクの崩れをさっと直した。


まだかな…?


約束の時間から5分前だった。

歩道に目を向けて探すもののあまりの人で見つかりっこない。


はぁ、と短くため息をついた時。

肩にポンと手がのった気がした。

振り返ると。

にっこりといつもの笑顔の唯人だった。


「……時間、間に合った…?」

優しい唯人の匂いが鼻をくすぐる。

シトラス系の爽やかなにおい。

「あ、うん!大丈夫だよ!」


見とれてたから返事をするのに時間がかかった。

だって、あまりにもかっこよかったから。


髪を軽くワックスであそばれてて。

私服は黒のプリントTシャツに少し緩めのダメージジーンズにスニーカー。

シンプルだけど、唯人の容姿のせいかとってもおしゃれに見えた。


いつもより、大人びていた。