本物の愛


─────

───

花火大会の日がやってきた。

集合時間まであと30分弱。

あたしはというと、美容院にいた。

あたしが行きつけのおしゃれな所。


「はい、できたよ!うん、可愛い」

美容師のマサヤと鏡越しで目が合う。

「ありがと、マサヤ」

「いやー、紅香浴衣似合うな!なんかめっちゃいい!」

「そこまで褒めなくても…」


今日は花火大会だから浴衣着て来いってかすみに強引にされた。

浴衣なんて年に一度くらいなものだから髪型も完璧にしたくて。

そしたらマサヤが思ってた以上の出来に仕上げてくれた。


「何?今日彼氏サンとデート?」

「そうだけど?」

「ははっ、今度は長く続けよ」

マサヤは軽く笑いながらお金を受け取った。

マサヤはあたしの恋愛状況を把握してる。
マサヤは見た目は明るめの茶髪にいつもヘラヘラしてるチャラい容姿なのに恋には臆病だ。


なんでなんだか。


「ぢゃあ、またね」

あたしは美容院を出た。