屋上につくと涼しい風が肌をかすめる。
心地いい……。
「紅香、早く食べよ!」
「う、うん」
あ、ぼーっとしてた。
あまりにも心地よくて。
急いで唯人の所まで走った。
唯人はニコニコして早く、と急かしている。
少し大きめのお弁当箱を渡すと、しっぽを振った犬のように喜んでくれる。
「やった!うまそ!今日もありがとな」
「いーえ」
お弁当作りはあたしから始めた。
毎日売店のクリームパン一つぢゃ足りないだろうし、栄養もない。
あたしの自己満足で作ってあげるとすっごく喜んでくれた。
それが嬉しくて毎日するようになったんだ。
「ん!卵焼きうめぇ☆あ!ナポリタン入ってる♪」
すっごく美味しそうに食べてくれる。
食べ物で知ったのは。
ナポリタンが好き。
甘い卵焼きが好き。
実はにんじんが嫌い。
なかなか自分のことを教えない唯人 だから些細なことだけでも知れて嬉しい。
「んであの件って?」
ぱくぱく食べ進めながら聞いて来た。

