「う……、げほ」

粉塵の霧が晴れてようやく弥桃は、他の3人も同じように埃まみれで転がっているのを確認できた。
何が起きたのか考える前に体が悟って、床に伏したまま動かない。

さっきまでいた扉の前に目を移すと、頑丈そうな扉はへこみ一つついていなかったが、ずいぶん汚れている。
注意力が散漫にならない程度に、辺りをうろうろと見渡した。
扉から10mほど離れた隅のほうに、壁や床が焦げたような跡が見える。

「爆弾……? 雉世のやつよりかなりでかいよな」

左肩のところで声がして振り返ると、紗散が座り込んだまま擦り寄ってきていた。

「紗散、ケガは」
「別に。弥桃は?」
「平気」

『別に』『平気』。
この答え方をしたときは、少なからず傷を負ったときだ。
お互いにそう思ったが、今は少なくとも、声色に表れない程度の怪我を心配している場合ではなかった。