「……バっカだなァ……」



隣からそう聞こえた。

びっくりして振り返る。

と、頬には生温かい雫と、頭には大きな手。



「お前は分かったんだから、それで良いんだよ」



くしゃりと撫でられた。

歪む、顔。

泣きそう……じゃない、泣いてる。

彼はそんな私をののしる訳でもなく、同情する訳でもなく、ただ頭を撫でてくれた。



「……私は」



「うん」



「ただ、悲しくて」



「うん」



「無邪気に合格したって言ったあいつが、憎くて、憎くて」



「うん」



何も話していないはずなのに、聞いてくれている彼。

私は言葉を紡ぐように話した。



「でも、それでも私は、」



言い訳みたいな言葉だけど、嘘じゃない。



「……分かってる」



そんな言葉を、信じてくれる。








私は曇天の中、声をあげて泣いた。


それでも空は、泣かなかった。