神無月の巫女

「あ……鈴………」



刹那は鈴に向かって
走っていった





「あの〜………」



狐が俺を見上げる





「あ?」





俺の声に狐が
震えている







「巫女様はお辛いのです
禁忌を犯したアヤカシは
転生する事を許されず
永遠の死なのです
それは殺すのと変わらない
のです……
巫女様はさぞかし胸を
痛めておられるのでしょう」






アヤカシを殺す…








「巫女様は幼き頃から
アヤカシも人も大切に
されてきました
それを自分の手で殺めるの
は辛いのです…」









そう言ってぺこりと
頭を下げて狐は
刹那の元へ走っていった








あいつ………









どれだけ色んなもの
抱えてんだ…