「コトン。」

ああ、ポストの音だ
いつもの朝、なんだか今日はねむいなあ
ぼくのだいすきな
赤いポストに手紙が入った音がした

誰からの手紙かな
ポストよりも、だいすきな
かわいいあの子からだといいな

なんて、夢見心地に、いそいそと
ポストを確認してみたら
おや、なにもない

んー
さっき確かに、コトン、と鳴ったのに…
うんうん悩んでいたら

「おはよう、コトン。」

しょくパンみたいな、やわらかな声
振り向くと、近所のジャム屋さんの店主が
にこにこ、立ってた

近所では、みんな彼のこと
ジャムさんって呼ぶんだ
だって、わかりやすいでしょう?