「さっちゃーん風呂空いたよ〜。」
こたつでテレビを観ていると、
悠くんが頭を拭きながら入ってきて言った。
「はーい。みる?消す?」
あたしは立ち上がりつつ
リモコンを持って言った。
「消す〜。俺もう部屋行くよ。」
「もう寝るの?」
まだ10時だった。
「部屋で仕事して、そのまま寝るよ。」
「そっか。おやすみ〜」
「おやすみ〜。」
お互い手を振りながら
あたしはお風呂に、
悠くんは自分の部屋に
それぞれ向かった。
あたしはいつもお風呂で
明日の献立を考える。
お風呂から出たら買い物リストを書いて
机に置いて、それから寝る。
お母さんが死んでから
掃除と買い物は悠くんが
料理と洗濯はあたしがしている。
たまに外食に行ったり
悠くんが何か買ってきたりする以外は
毎食ちゃんと作っている。
あたしは超辛党で
悠くんは超甘党だから
今でもたまに味付けに困る。
基本的には甘口にしてるけど
あたしの甘口は悠くんにとっては中辛らしい
もう3年もあたしの料理を食べてるのに
悠くんが辛い物を美味しいと
言ったことは一度もない。
まだ冷蔵庫にいろいろ残っていたから
紙に、『食パンと野菜ジュース(紫)』
だけ書いて、机に置いて
部屋に戻ってすぐに寝た。
