「今はまだ受け止められないなら、開き治ってればいいんだよ。」
また優し声で悠くんが言った。
「でもそれじゃ現実逃避じゃん。」
「時間にしか解決出来ないこともあるんだよ。そういうことは、出来ないって思い悩むよりも、一度目を逸らして向き合えるまで明るく過ごした方が得だと思わない?」
なんか自分には絶対出来ない考え方で
目からウロコっていうか、何も言えなかった
「後からその代償っていうか?その時逃げた分、しんどかったりするだろうけど、その時は今の自分より強くなってるはずだから。未来の自分信じて今は逃げる。なんか格好良くない?」
[格好良くないよ。逃げたら格好悪いじゃん」
あたしは冷静に突っ込んだ。
「まぁそうだけど。俺が言いたいのは〜」
悠くんはちょっと罰が悪そうに
必死に言葉を探しだした
「分かるよなんとなく。まぁ、苦しむなってことでしょ?」
「うん。」
悠くんは満面の笑みで言った。
その辺の女子は簡単に落ちそうな笑顔だと
あたしまでつい思ってしまった。
「ごちそうさま〜。美味かったよ。」
悠くんは机の上の食器を
全部重ねて立ち上がった。
「あたしが洗うからいいよ。」
あたしはそれを奪いつつ言った。
「そう?ありがと。」
悠くんに皿洗いをさせたら
何枚割られるか分からない。
「先に風呂入ってい~?」
「どーぞ~」
悠くんが鼻歌を歌いながら出て行ったから
あたしも片づけをし始めた。
悠くんは真面目な話をしていても
いつも途中で馬鹿なことを言うから
絶対重たい空気にならない。
軽いテンションであたしの気持ちを
いつも軽くしてくれる。
それにあたしがどれだけ救われてるか..
ありがとうって素直に言えなくてごめんね。
考えてるうちに皿洗いを済ませ机も拭いた。
